雲県普洱熟茶 2021
雲県普洱熟茶 2021
雲南省に限らず、プーアル熟茶を入手するのは素人でも難しくありません。
中国へ観光に行けば、観光客の多くはプーアル茶を土産に買い、その8割くらいはプーアル熟茶でしょう。
「中国の本場で買ってきたらから、凄く良いお茶なんだよ」と言う話をよく聞きます。しかし、その殆どは金額とのバランスが取れていない品質のものが多いのが実情です。
プーアル茶の総合的な品質は、味の厚みと、香りの種類とのバランスで決まります。
プーアル熟茶は生茶と違って、微生物による発酵を伴うために製造工程が複雑であり、ゆえに個人農家で作られることは殆ど有りません。プーアル熟茶の生産=工場というのが一般的です。
工場には当然従業員がおります。従業員の給料や設備費はお茶が売れても売れなくても支払わなければなりません。
つまり、自分だけが生きてゆけばよい個人農家と比べると、工場の場合、固定費が高く、その固定費を回収するためには、「量」を売ることが工場のミッションです。
この為、工場では量を生産する事、低コストの茶葉を仕入れることをプーアル熟茶生産の基本概念としております。
個人農家では一年に数十キロから数百キロ単位でしか生産されないプーアル生茶ですが、工場ではトン単位で生産が行われます。
大量のお茶を販売しようと思ったら、品質が均一でなければなりません。数十トンあるお茶の品質がバラバラでは売ることが出来ません。 このような理由から工場では茶葉のブレンドを行います。ブレンドを行うことで、品質を均質にします。
ブレンドはプーアル茶の品質形成の技術だとか極意だとか信じている人もおりますが、工場におけるブレンドは目的が異なります。 ブレンドをする目的は品質を均質にするためだけです。多くの場合、春茶、夏茶、秋茶の3種類をブレンドし、コストの点、品質の点で均質化するのが一般的です。
原料のブレンドという点では、プーアル茶に限らず、緑茶、紅茶、烏龍茶の工場でも同じような取り組みを行っております。
ただプーアル茶との大きな違いは、プーアル熟茶の場合微生物発酵で作られるために、渋味の原因となるタンニンが分解されており、安い原料が用いられていたとしても、渋味が感じられなくなります。
反面、緑茶や紅茶の場合、安価な茶園産の原料から作られた製品は、苦みや渋味が強く、品質が低いことは飲めば即分かります。プーアル生茶も同様に安い原料から作られた場合、非常に渋くなります。
どんなに安く、真夏に摘まれた、低品質の原料から作られたお茶でも、プーアル熟茶は渋くなりません。
安いお茶の代名詞である渋味が感じられないプーアル熟茶の場合、多くの人が品質が判断できないのが現実です。
残念ながら、雲南省における良質な原料はプーアル生茶の生産に用いられます。
それは良質な生茶は、良質な熟茶よりも遙かに高い値段で売れるためです。 そうなると、「市場には良い熟茶が殆ど流通してないのでは?」という疑問が生じますが、実際、雲南省における熟茶の位置づけは日本茶における番茶や玄米茶と似ており、
基本的に良い品質の熟茶はごく限られているというのが実情です。
HOJOではブレンドする前の春茶のみを指定買いするようにしております。相当量のお茶の試飲を繰り返し、良い品質を紹介できるように努めております。
前述したとおり、空港ですら何百種類と陳列されているプーアル熟茶ですが、本当に良い品質のお茶は良い品質の生茶を探す以上に難しいのが実情です。
良い品質の熟茶は何が違うのでしょうか?プーアル熟茶というと鼻につくようなカビ臭いお茶というイメージがあるかも知れませんが、良質のお茶の場合、飲んだときにあるレベルの感動が無ければなりません。
以下に美味しい熟茶の特徴を挙げます。
1.薄く淹れても味が濃く、深い味わいが感じられます。香りに関しても、鼻にぬける薄っぺらい香りではなく、香りが喉の奥で感じられ、深い余韻が感じられます。
2.上手に発酵が行われたお茶の場合、乾燥フルーツのような甘い香りがします。逆に、悪質なお茶の場合、土、納豆、足、腐った家具のような香りがします。これは、発酵中の水分量の調整を制御できてないことで茶葉内が酸素不足になったことに起因します。
このお茶は標高2000mで作られました。台湾でも標高2000mと言えばかなり高級な高山茶に属します。高い標高ゆえに昼夜の温度差が大きく、後味に厚みのあるお茶が出来ます。
喬木と呼ばれる栽培方法で作られているお茶の木
お茶の産地は、雲南省の西部、臨滄の雲県という地域です。この地域は、雲南紅茶の産地としてもよく知られております。
臨滄は緯度が北に位置すること、また、お茶の栽培地域の標高が非常に高い為に、概して良いお茶が作られます。
本商品は乾燥フルーツの甘い香りがし、深い喉越しと相まって、飲んだ時に香りの余韻が何時までも感じられます。
値段が手頃なお茶ゆえに、「普段飲み用にどうぞ」と言いたい所なのですが、普段飲み用のカジュアルなお茶とはかけ離れた深い味わい(喉越し)がします。2-3倍の値段がついてもおかしくない、高い品質のお茶です。
雲南省には時々こういった掘り出し物のお茶があります。コストパフォーマンスの極めて高いお茶ですので、プーアル茶の初心者には是非お勧めします。
在庫に限りがありますので、当商品の品質が気に入られた場合、多めに買いだめされる事をお薦めいたします。
自然栽培茶に特化した仕入れ
私たちは2010年から毎年春に雲南省を訪れています。長年の現地滞在を通じて、有名産地との繋がりも多く築いてきました。しかし、重視しているのは産地の知名度ではなく、透明感のある味わいと長い余韻を持つお茶です。そのため、僻地の山村に焦点を当て、樹齢が高く、標高の高い無肥料の茶園を選び、独自の流通ルートで仕入れています。詳しくは以下のページをご覧ください。
雲南省では、他産地の原料を使いながらも、有名産地を謳ったお茶が何千箇所もの生産者によって作られ、空港やコンビニ、スーパーなど、あらゆる場所に溢れています。
しかし、状況を複雑にしているのは、僻地のお茶を使ったコピー品の方が、本物よりも品質が高いという逆転現象です。これは特に臨滄産のプーアル茶でよく見られる現象で、現地で仕入れに関わるプロの間ではよく知られております。詳しくは以下のページをご覧ください。
雲南省には大益や中茶といった老舗ブランドが存在します。これらのブランドが名高い理由は、1990年以前に製造されたお茶が高い評価を受けているからです。
では、なぜこれらの古いお茶が特別なのでしょうか。多くの人は長期熟成が理由だと思いがちですが、実際のところ、当時使用されていたのは無肥料で自然のまま育った高品質な茶葉でした。
そのため、現在作られているお茶を長期熟成しても、同じ品質にはなりません。詳細は以下のページをご覧ください。