記事: 抹茶の健康パワーの秘密!カテキンが もたらす効能と効果的な摂り方。
抹茶の健康パワーの秘密!カテキンが もたらす効能と効果的な摂り方。
「抹茶は体にいい」と聞くけれど、どんな効果があるのでしょうか?
実は、抹茶が持つ健康パワーの一つに「カテキン」があり、抗酸化作用や免疫調整機能、体脂肪や血糖値への変化など、私たちの体に多くの恩恵をもたらしてくれています。
本記事では、抹茶が持つカテキンの効能について解説し、日々の健康や美容に役立てるための効果的な摂り方も紹介します。今日から抹茶を取り入れて、健やかな一日を始めてみましょう。
抹茶カテキンの特徴と緑茶との違い
抹茶は中国を起源として、日本へ800 年以上前に伝わった伝統的な食品です(1)。
旨味成分であるテアニンや苦味、渋み成分であるカテキン、カフェインなどが含まれています(2)。
抹茶のカテキンはエピガロカテキンガレート(EGCG)やエピカテキンガレート(ECG)など数種類に渡り、それぞれ効果・効能が異なります(3)。
また、緑茶との違いは栽培方法や製法にあるといわれています。
抹茶は茶葉を蒸して乾燥させ、粉末状にするため、茶葉の栄養素を丸ごと摂れるのが特徴です。
その一方で、緑茶は抽出された水やお湯に溶け出た成分を飲むため、カテキンの摂取量は少なくなります。
つまり、抹茶はカテキンやその他の栄養素を効率よく摂れる食品ともいえます。
しかし、高級な抹茶の場合は「被覆」と呼ばれる栽培方法によって、旨み成分のテアニンが増加し、苦味成分のカテキンは少ない傾向にあることも覚えておきましょう(2)。
抹茶カテキンに期待される5 つの健康効果
抹茶カテキンに期待される、5つの健康効果について紹介します。
● 抗酸化作用
● 免疫調整機能
● 体脂肪や血糖値の低下
● がん予防
● ストレス軽減効果
それぞれの特徴や詳細について見ていきましょう。
抗酸化作用
抹茶に含まれるカテキンは優れた抗酸化活性を持ち、呼吸やストレス、紫外線、喫煙などによって発生する、活性酸素の働きを抑えてくれます(3)。
活性酵素は適量であれば、免疫機能として細菌やウイルスをやっつける働きを持ちますが、過剰に作られると正常な細胞を傷つけてしまう恐れがあります。
抹茶のカテキンは、細胞の酸化を抑えて守る働きをしてくれているのです。
また、紫外線のダメージから肌を守り、しみやそばかすの発生を防ぐ美容効果やエイジングケアにも役立つ可能性が示唆されています(4)。
免疫調整機能
抹茶のカテキンは、免疫細胞を活性酵素の悪影響から守り、正常な働きをサポートしてくれます(5)。
なかでもカテキンの一つである「エピガロカテキン」は免疫力調整が期待される成分で、お湯よりも水に溶けやすいことが分かっています(5)。
最近では、抹茶入りの玄米茶なども販売されているため、免疫機能を高めたいときは水出しの飲み物として抹茶を飲用するのもおすすめです。
また、お茶を飲むことによって、病原体やウイルスの侵入を防ぐIgA の分泌量が上昇したという研究結果もあり、風邪予防にも抹茶は有効といえるでしょう(6)。
体脂肪や血糖値の低下
お茶に含まれるカテキンは、糖の分解と吸収、体脂肪の蓄積を抑える働きがあります。
体脂肪の蓄積に関しては、エピガロカテキンガレート(EGCG)が肝臓での脂質の代謝を促進し、脂肪酸の合成を抑える働きをしているためです。
また、血糖値においてはエピカテキンガレート(ECG)が小腸での糖の吸収を抑え、血中濃度が低下したという結果も出ています。
このように、お茶には糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を予防する可能性が期待されています。
がん予防
茶葉に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、がん予防の可能性も期待されています。
例えば、がん細胞に栄養や酸素を送るための血管が作られることを防ぐ、腫瘍ががん細胞に突然変異しないようにするなど、さまざまな作用によってがんの発生を防いでくれます。
茶葉に含まれるカテキンは、皮膚がんのほかに胃がんや肺がん、乳がん、腸がんなどの多くのがん抑制・予防に効果が期待されています。
ストレス軽減効果
抹茶に含まれるカテキンは、ストレス低減効果があることも知られています。これは、抹茶に含まれる「テアニン」が関係しています。
ある研究では、抹茶3g を水500ml に溶かして飲んだ場合と粉末茶を飲んだ場合を比べたときに、抹茶を飲んだほうがストレスの軽減に効果があったことが示されています(7)。
抹茶を飲むときは、気分転換やリラックス効果もあると言えるでしょう。
抹茶カテキンの効果的な飲み方
カテキンを効率的に摂るためには、以下の3 点に注目して飲んでみましょう。
● 適度に間隔を空けて飲む
● 80 度以上のお湯を入れて飲む
● ビタミンC を含む食品と一緒に飲む
抹茶に含まれるカテキンは天然の抗酸化物質であり、吸収効率が低く、体外に排出されやすい特徴があります(8)。
そのため、習慣的に飲むのがおすすめです。
飲んでからは1〜2 時間後に血中濃度がピークを示すため、適度に間隔を空けて飲むとよいでしょう(8)。
また、苦味や渋みの成分であるカテキンは、80°C以上の高い温度で浸出するため、温かくして飲むと効果的です(9)。
ビタミンC との摂取によって、カテキンにおける抗酸化作用の相乗効果が得られるともいわれています(3)。
抹茶の適正量と注意点
抹茶の適正量については、1 日当たり1〜3 杯程度を目安に飲みましょう。
抹茶の定期的な飲用によって、数日間飲んでいなくても効果は得られると考えられています(2)。
また、その一方でカフェインの過剰摂取には注意が必要です。抹茶1 杯当たり1.5g に対しては、カフェインが48mg 入っています(10)。
カナダの保健省では、カフェインの摂取量を成人で最大400mg/日、妊娠中や授乳中の場合は300mg/日を目安としています(10)。
カフェインはエナジードリンクやコーヒー、紅茶などにも多く含まれるため、習慣的に飲む方は1 日の摂取量に注意しましょう。
抹茶カテキンで健康な毎日を!
抹茶には数種類のカテキンが含まれており、抗酸化作用や免疫機能調整、体脂肪や血糖値の低下作用などが期待されます。
温かいお湯に溶かしたり、牛乳で割ってラテにしたり、スイーツに使ったりと多彩な使い方で楽しめるのも魅力です。
過剰摂取に注意しながら、日々の生活に取り入れて、健康な毎日を過ごしていきましょう。
2015,vol.46,No.2,p.121.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/46/2/46_121/_pdf(accesse
d 2025-06-04)
(2)農食事業27015C コンソーシアム . “” 被覆茶安定生産マニュアル . 農業・食品産業技術
総合研究機構 (NARO), 2018.
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/hihukucha-antei_man201803.pdf,
(accessed 2025-06-04)
(3)et al.Joanna, Kochman.,Karolina, Jakubczyk.,Justyna, Antoniewicz.,Honorata,
Mruk.,Katarzyna, Janda(2021). “Health Benefits and Chemical Composition of Matcha
Green Tea: A Review. ” Catechins in Human Health 2020, 26 (1), 85 ,Accessed June 4,
2025. doi:https://doi.org/10.3390/molecules26010085
(4)和田侑子 , 石井文由 . カテキンの秘めたるパワー . オレオサイエンス .2008,
vol.8,No.9,p.371-378. https://doi.org/10.5650/oleoscience.8.371(accessed 2025-06-04)
(5)斎藤貴江子 . 茶カテキンの特性とその有効利用 . 2018, vol.93,No.2,p.108-
115.https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010921088.pdf(accessed 2025-06-04)
(6)物部真奈美 . 緑茶成分の免疫作用 抽出温度の違いで機能が変わる . 化学と生物 .2021,
vol.59,No.10,p.504-511.https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/59/10/59_59100
2/_pdf(accessed 2025-06-04)
(7)堀江秀樹 . 抹茶の品質と機能 . 茶葉研究報告.2018,vol.2018,No.126,p.1-
8.https://doi.org/10.5979/cha.2018.126_1(accessed 2025-06-04)
(8)杉山彰英 . カテキン . 学会誌JSPEN.2022,vol.4,No.1,p.44-48.
https://doi.org/10.11244/ejspen.4.1_44(accessed 2025-06-04)
(9)相川いずみ . “特集 1 緑茶 (4) ” 日本茶インストラクターに聞いた 緑茶のおいしい淹れ方 .
農林水産省.https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1704/spe1_04.html, (accessed 2025-06-04)
(10)“” カフェインの過剰摂取について . 農林水産省 .2024.
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html,