
白鶯山古樹白茶
短期間の熟成でダージリンファーストフラッシュのような香り
白鶯山産の白茶は是非今年仕入れたいと昨年から決めておりました。昨年生産者が試作したお茶を入手し、一年間寝かしておいたところ、ダージリンファーストフラッシュのように華やかな香りに熟成されました。しかも、完全自然栽培茶を原料としているためダージリンとは比にならないレベルの深い余韻が感じられ、奥行きのある深い香りに感動しました。
自然栽培茶による深い余韻
白鶯山は臨滄の雲県位置する地域です。白鶯山は臨滄界隈では非常に有名な産地であり、近年では空港などにも白鶯山の看板が見られます。ただし、白鳳山産のお茶の全てが一定の品質傾向を示すわけではありません。白鶯山のお茶と言っても、産地はかなり広く、多くは肥料を用いており、それがお茶の品質に影響を与えております。私はストイックに無肥料の茶園産の原料を求めており、余韻の強さをお茶の選定基準の1つとして挙げております。ここで紹介する白鶯山古樹白茶は無肥料・無農薬で、かつ、平均樹齢が100歳以上の古樹茶から作られております。お茶の特徴は強烈に深い余韻です。そのため、飲んだときに喉の奥に染みこむような深いコクが感じられます。香りはまとまりがあり、馬鞍山古樹白茶とは対照的に、ボディは軽めです。軽めのボディのお茶は普段飲みに適しており、強い余韻も相まって一日中飲んでいても飽きが来ないお茶ではないかと思います。花のような香りと甘い香りが特徴で、紅茶や烏龍茶が好きな人にも支持されるお茶ではないかと思います。
特注生産により花のような香りに加工
今回入手した白鶯山古樹白茶ですが、私が希望する生産パラメーターを事前に打ち合わせ、特注生産にて希望する内容に仕上げて貰いました。特に萎凋時間を短めに管理することで花のような香りを重要視しました。この為、萎凋は約2日間行い、茶葉の色合いが未だ緑色くらいの状態で乾燥し、仕上げました。毛茶(粗茶)の状態で確認した所、非常に爽やかでフローラルな香りが感じられ、また、ほのかに蜜のような甘い香りが漂っておりました。毛茶(粗茶)を仕入れた際、毛茶のまま発売するか、緊圧するか非常に悩みましたが、茶葉の嵩密度が軽く非常にかさばること、また、輸送中に破損のリスクが高いことから、熟成もし易いように餅茶の形状に加工して販売することにしました。
数年の熟成で味わえるマスカットのような香り
このお茶のもう一つの面白い特徴は、熟成による変化です。白茶の場合、プーアル茶以上に熟成で香りが変化します。初年度は薄クリーム色だった水色も、1-2年が経過すると、黄色〜オレンジへと変化し、更に長期の熟成をした場合、水色は紅茶の様な濃い色へと変化します。それに伴い、香りも大きく変化し、最初はダージリンファーストフラッシュのような花の香りから、蜜のような、杏のような甘い香りが徐々に形成され、水色が濃くなるにつれ、濃厚なマスカットの香りへと変化します。プーアル茶も熟成により甘い香りを形成しますが、白茶はより短期間で「変化」が楽しめるため、現在中国でも、また、HOJOのお客様の間でも静かなブームになりつつ有ります。保存をされる際には、無酸素状態を維持するために未開封のまま保管ください。なお、年間平均気温が高い場所の方が熟成が早く進みます。事実、マレーシアの倉庫で保管したお茶は日本の2倍以上の熟成速度です。
おいしいいれかた
使用する水
身近な水と言うことで、水道水をお薦めいたします。水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3~5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、活性炭フィルター付きの浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。また、塩素は微生物を殺菌するためにいれられております。殺すのは健康に害のある微生物だけでなく、私達の腸にすむ善玉菌も同様に殺菌してしまいます。また、細胞レベルでも様々な害が報告されており、アレルギーの原因にも成り得ます。
蒸留水や逆浸透膜水の場合、ミネラルを全く含まないために、お茶の味がフラットになりがちです。出来るだけ水道水等、ミネラル水をご使用ください。
尚、ヤカンに付着した水垢(スケール)は決して除去しないでください。クエン酸洗浄などを行うことで、従来のお茶の味が得られなくなってしまいます。
一端使用される水の種類を決められたら、今後、水の種類を変えないように同じ種類の水を使用し続けてください。水の種類が変わった場合、スケールからミネラルが大量に溶出し、暫く使っていると、お茶の味が劇的にまずくなります。同じ水を使用し続けることが、お茶を美味しくいれるための秘訣です。
美味しい飲み方
一般的な淹れ方
茶葉の量 200mlに対して3-4g
湯の温度 沸騰水
いれる時間
1煎目 30-40秒くらい
2煎目以降 10秒内
この方法ですと合計で6煎以上いれることが可能です。
工夫式の淹れ方
お茶をおいしくいれるためには是非工夫式のいれかたでいれてみてください。工夫式とは潮州の鳳凰単叢烏龍をおいしくいれるために発達したいれかたです。
茶葉の量 100mlに対して5-7g
湯の温度 100℃
沸騰した湯を使い2回洗茶をする。茶葉の温度をあげるのが目的。洗茶は1−2秒内に手早く完了してください。
1煎目も、2煎目以降も数秒内としてください。1煎目は薄めですが、2煎目以降ちょうど良い濃さになります。
意外に美味しい淹れ方
白茶は冷水で淹れる事も出来ます。冷水はミネラルウォーター又は浄水器を通した水を用いてください。3gに対して200mlの水を注ぎ入れ、20~30分放置して下さい。白茶からは香りと味が徐々に抽出され、自然のままの味と香りを楽しむことが出来ます。水で抽出した場合、湯と比べて色があまり出ませんが、実際に飲んでみると豊かな味を感じて頂くことが出来ます。
茶葉の保存方法
常温にて保管されることをお薦めいたします。
お茶は湿度に弱く、水分を少しでも吸収した場合、即劣化が開始されます。
水分は以下のような状況で意図せず吸収されますのでご注意ください。
- お茶を淹れる際に、近くに置いてあり湯気が触れる
- スプーンなどに水分が付着している
- 湿度の高い日や場所で開封したため
- 冷蔵庫から出した際に、即開封したために、結露が発生
- 冷蔵庫から出して、暫く未開封のまま常温に戻したものの、シールが完全でなく結露が発生
実際、茶葉が劣化する最大の原因は4と5のようです。
冷蔵庫に保管した場合、袋の内部は冷えており、テープなどでしっかりとシールしていても、かなりの率で外気が中に進入し、結露を起こします。茶葉を結露してしまった場合、2-3日で香りが劇的に変化します。
出来る限り、常温で保管し、しっかりと乾燥した部屋でシールをすることで湿度を避けて保管してください。開封したら数ヶ月内に消費してしまうのが理想です。
未開封で真空包装されている商品につきましては、1年以上の保管が可能です。更に熟成を進めたい場合、常温にて、未開封のまま(真空包装のまま)保管してください。尚、購入直後のままの品質を維持されたい方は冷蔵庫にて保管してください。冷蔵庫に保管された場合は、必ず、24時間かけ常温に戻してから開封するようにしてください。半日もおけば大丈夫と思われがちですが、茶葉は大変表面積が大きく、天然の断熱材と言っても過言ではありません。手で触ってみると、既に常温に戻っているように感じられますが、内部は冷えており、十分に温度を常温に戻すには24時間必要です。尚、一端冷蔵庫からだし、開封された後は、常温にて保管してください。秋~春は外気の温度が低いため、常温保存をしても数ヶ月以上美味しい状態を維持することが出来ます。
市販の商品で、真空状態を作り出すことの出来るタッパーがございます。普及品ではありませんが、お茶の保存には最適ですので、それらの特殊容器を求められるのも良いかと思います。
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