正山小種(ラプサンスーチョン)奇種
正山小種(ラプサンスーチョン)奇種
桐木関の標高1200mの自然栽培茶園で収穫された在来種(奇種)から作られたお茶で、桃やマンゴを連想するような、甘いフルーツ香のする紅茶です。
一般的に知られている正山小種(ラプサンスーチョン)のような煙の香りは全くしません。
HOJOで紹介する中で最も高級な正山小種です。
1800年代イギリス人をも虜にしたと言われるフルーツの香りをお楽しみください。
桐木関に昔から自生している在来種の奇種
武夷山の星村鎮桐木関に昔から自生している、実生のお茶のことを現地では奇種と呼びます。
実生とは種から撒かれたお茶のことで、日本では在来種と呼ばれます。
種から撒かれたお茶は、直根と言い、ゴボウのように真っ直ぐ根を地中に伸ばすことから、ミネラルを吸収しやすく、後味の濃い余韻の長いお茶が出来ます。
桐木関在来茶の奇種は、香りに強い個性を有し、高級な正山小種(ラプサンスーチョン)の原料として現地で珍重されております。
HOJOでは桐木関に茶園を所有するお茶農家兼生産者から直接お茶の仕入を行っております。HOJOで仕入れている正山小種 奇種の茶園は標高が1200m、樹齢が100歳以上の茶樹です。
桐木関では村全体で自然農法を実施しており、今回お茶を仕入れた茶園も、農薬は勿論、肥料を全く使用しておりません。
そのため、お茶が非常にゆっくりと成長し、味が濃く、余韻が非常に長く感じられます。尚、HOJOで販売している小赤甘も奇種から作られておりますが、標高が900-1000mの茶園産です。
正山小種はアールグレイの元となった紅茶
正山小種(ラプサンスーチョン)は、世界で最初に作られた紅茶として、紅茶愛好家の間では非常によく知られている紅茶かと思います。
1662年にイギリスのチャールズ2世とポルトガルのキャサリン王女が結婚しました際、王女は彼女の大のお気に入りである正山小種を本国から持参し、それがイギリスにおける紅茶ブームの発端となったと言われております。
他にも正山小種については、多くの面白いストーリーがあります。例えば、正山小種はあの有名なアールグレイの元となったお茶と言う話をご存じでしょうか?
正山小種を飲んだイギリス人が、その甘いフルーツの香りに感動したことから、その香りを模倣したお茶としてベルガモットの香りを付けたアールグレイが開発されたという話は有名です。
正山小種の甘いフルーツの香りに関する謎
幾つもある伝説的な逸話を読んでいると、正山小種は「魅惑的な甘いフルーツの香りの紅茶」と想像せずにいられません。
ところが、日本で入手可能な正山小種の多くは正露丸のような強烈な煙の香りがします。
多くの紅茶愛好家が、正山小種のストーリーに憧れ、正山小種を飲んでは、ストーリーと実際の香りとのギャップに困惑、翻弄されてきたと思います。
現在、武夷山における、正山小種の作り方は2極化しております。松の煙の香りがする紅茶は主に海外向け、中国国内向けには煙の香りが全くしない、
フルーツの香りがする紅茶が作られております。一般に、煙の香りがするお茶は「傳統式」とか「傳統型」と呼ばれ、煙の香りがしないお茶と区別されております。
また、煙の香りがするお茶でも、お茶を作る際、発酵工程の後に発酵止めをするお茶と、発酵止めをせずに即松の木を燃やした熱で乾燥する製法に大別されます。
後者のような作り方をしたお茶は、発酵が過度に進むため、茶葉は茶色くなり、お茶からは木質の香りがします
まとめると、現在のおける桐木関の正山小種は以下の3通りのスタイルに分かれます。
- 煙の香りとフルーツの香りがするお茶
- 煙の香りと木質の香りのお茶
- 煙の香りが無く、フルーツの香りのお茶
おそらく、古典的な正山小種は、1番の煙とフルーツの香りがするお茶だったのではないかと考えております。
桐木関の春は非常に寒いことから、昔から松の木を燃やした熱で乾燥が行われており、多かれ少なかれ煙の香りはしていたはずです。
また、桐木関在来の奇種は非常にフルーツ香が強い特徴があり、発酵止めさえきちんと行っていれば、煙の香りの有無に関係無く、フルーツの香りが形成されます。
日本ではフルーツの香りがしない正山小種が多い点ですが、輸出用の安価なお茶には外山小種と呼ばれる桐木関以外のお茶から作られた正山小種が非常に多く、これらのお茶はフルーツの香りが余り感じられません。
また、原料に奇種を用いていても、発酵止めを行ってない場合、2番のようにフルーツの香りが全くしないお茶になってしまうのも事実です。
正山小種 奇種は3番のタイプになります。正山小種の良い点を凝縮したようなお茶で、煙の香りが全くせず、桃、ネクタリン、マンゴなどを連想する甘いフルーツの香りが強く感じられます。
加え、高標い高、自然農法、老木、実生であることから、後味が非常に濃く、体に染み入るような長い余韻が感じられます。
炭焙による更なる熟成
正山小種 奇種の製法の中で最も特徴的なのは、一般的な紅茶のプロセスである萎凋→揉捻→発酵止め・乾燥の後に、炭火による「炭焙」がある点です。
これは鳳凰単叢烏龍茶や武夷烏龍茶と同じで、低めの温度でゆっくりと熱を加えることで、お茶の熟成を加速し、フルーツ香を高めております。
この炭火による焙煎工程こそが正山小種における特有のフルーツの香りの形成に欠くことのできない工程です。
近年では無焙煎、電気焙煎のお茶も多く作られておりますが、HOJOでは炭火を用いて低温焙煎をした正山小種にこだわって仕入れを行っております。