唐家古樹生茶 2020
唐家古樹生茶 2020
異なる個性の2020年産と2021年産
唐家古樹生茶は程良いボディ(ふくよかさ)と長い余韻を両立したバランスの良い味のお茶です。
2020年産はよりクリーミーで滑らかな口当たりなのに対し、2021年産はより余韻が長く、味に透明感あるシャープ印象です。
プーアル茶というと水色が茶色で、干しキノコや乾燥フルーツのような香りのお茶を想像される人も少なくないかと思いますが、それはプーアル熟茶です。
プーアル生茶は製茶時に微生物による発酵を伴わず、フルーティで新鮮な白ワインのようなデリケートなお茶です。苦みや渋味が全く無いため、子供にも大変喜ばれます。
プーアル生茶とプーアル熟茶の違い >商品詳細
唐家古樹生茶は雲南省臨滄市の西部、標高2000m〜2100mの茶園産の春茶から作りました。唐家の名前の由来は茶園が「唐」という名字の一家によって所有されているためです。唐家所有の茶園は高樹齢の老木が沢山あり、誰もが羨むような茶園にもかかわらず、2018年までの過去約30年にわたり1度もお茶摘みがされず茶園は放置されておりました。
家庭の事情で30年間放置されていた古樹茶園
実は、唐家はその昔は茶農家を生業としていたのですが、現在の当主が家を継いで以来、牛と山羊の放牧を生業とするようになりました。雲南省の中でも臨滄の高山地帯で野の草を食べさせて放牧した牛や山羊は非常に肉質が良く高い値段で売れます。この地域は標高が高いことで牛の肉質が良く、檻の中で飼った牛でも1匹1万元(約15万円)で売れます。自然放牧で野生の草を食べさせた牛ともなると、価格は更に高く、放牧業は村人の憧れの職業でもあります。この為、茶園オーナーの中には、唐氏のように、放牧業へと仕事を変える人は割に多いようです。
当初、唐家では唐氏(写真上)が放牧をするかたわら、奥さんがお茶に関わることを期待していたようなのですが、唐家の奥さんは放牧で十分に収入が得られるため、農業をやりたがらず、茶園はずっと放置されておりました。農業をしないことで、奥さんと家族、特に姑との仲がぎくしゃくしており、遂に数年前に離婚してしまいました。
子山羊を触ろうとしている私
既に50歳過ぎの唐氏ですが、前の奥さんが唐家を去った後、新しい奥さんと再婚しました。再婚相手はミャンマーのカチン州出身の難民の女性でした。
カチン州と言えば、数年前まで戦闘機や迫撃砲が飛び交うような激しい内戦地域です。臨滄西部はミャンマーから50km程度しか離れていないため、難民の受け入れをしており、鎮康県や永德県ではミャンマー人と結婚する人も珍しくありません。
ところで、ミャンマーから来た新しい奥さん(写真上)は、猛烈な働き者で、30年間の放置で完全に藪と化した茶園の下草や雑木を次ぎ次に切り倒し、気がつけば、半年足らずで唐家の茶園はお茶が摘める状態に整備されておりました。あまりの凄まじい仕事ぶりに、唐家の新しい奥さんは、村でも有名になり、近所では「ミャンマーの妻の古樹茶園」とまで呼ばれるようになりました。
実は2018も唐家のお茶を仕入れようとしたのですが、多くの人が注目しており、原料茶葉の取り合いとなった結果、私は少量しか仕入れることができませんでした。そこで2019年は、唐家の茶園をレンタル契約することを考えました。たまたま私が共にプーアル茶作りをしている生産者と唐家は親戚関係だったため、今年は生産者を通じて契約料を支払い、唐氏の茶園を1年間更新で契約する事が出来ました。
この地域の慣習では、茶園のレンタル契約した場合、茶園のレンタル料を支払い、更に、お茶摘み料は別途ミャンマーの奥さんに相場相応の値段を支払います。つまり、唐家としてはレンタル料分が追加収入となります。
藪が刈られ整備された唐家の茶園
時間をかけてゆっくりと成長したお茶の木
不思議なもので、数百歳まで元気に生き続けているお茶の木でも、肥料を与えると急に弱くなり、突然病気になったり、枯れてしまうことがあります。このような事実を経験的に知っている農家は、お茶の木が弱るという理由から肥料を全く使用しません。唐家に於いても昔から無肥料による栽培を行っており、現在も一切の肥料を与えておりません。
非常に標高が高い上に、老木で、無肥料栽培ゆえ、お茶の木はとてもゆっくりと生長します。この為、唐家で1番茶のお茶摘みが始まったのは5月に入ってからでした。同じ地域でも標高1400-1500mの茶園は3月の下旬にお茶摘みが行われることを考慮すると、極めて成長が遅いお茶と理解できます。時間をかけて育ったお茶は細胞密度が高く、ミネラルを始め、ポリフェノールが突出して多く含まれており、お茶の味わいをより豊で濃厚にします。
唐家の茶園にあるお茶の老樹
お茶酔いしそうな深くやわらかな後味
唐家古樹生茶はミディアムボディで、非常に深い後味(コク、余韻)が感じられます。香りは新茶の内は比較的穏やかでマリーゴールドや餅米のような甘い香りがします。
唐家古樹生茶は、突出して濃厚なポリフェノールを含有しているため、熟成速度も速く、熟成により強い蜜香やフルーツ香が形成される事が期待できるお茶です。昨年作った唐家古樹生茶のサンプルを少量マレーシアで保管しておりますが、今の時点で強いフルーツ香と蜜の香りがはっきりと感じられ、とても理想的に熟成しております。お茶を経年熟成させたい場合、無酸素での熟成をお勧めします。HOJOでは出荷時に脱酸素処理をしておりますので、未開封のまま保存してください。温度が高いほど熟成は早く進みます。開封して保存した場合、変化は非常に速い反面、熟成香と同時に(ヒネ臭的な)酸化臭が形成されるため、私は個人的にお勧めしません。また、開封直後は数日間空気酸化させることで香りを開かせるようにしてください。
自然栽培茶に特化した仕入れ
私たちは2010年から毎年春に雲南省を訪れています。長年の現地滞在を通じて、有名産地との繋がりも多く築いてきました。しかし、重視しているのは産地の知名度ではなく、透明感のある味わいと長い余韻を持つお茶です。そのため、僻地の山村に焦点を当て、樹齢が高く、標高の高い無肥料の茶園を選び、独自の流通ルートで仕入れています。詳しくは以下のページをご覧ください。
雲南省では、他産地の原料を使いながらも、有名産地を謳ったお茶が何千箇所もの生産者によって作られ、空港やコンビニ、スーパーなど、あらゆる場所に溢れています。
しかし、状況を複雑にしているのは、僻地のお茶を使ったコピー品の方が、本物よりも品質が高いという逆転現象です。これは特に臨滄産のプーアル茶でよく見られる現象で、現地で仕入れに関わるプロの間ではよく知られております。詳しくは以下のページをご覧ください。
雲南省には大益や中茶といった老舗ブランドが存在します。これらのブランドが名高い理由は、1990年以前に製造されたお茶が高い評価を受けているからです。
では、なぜこれらの古いお茶が特別なのでしょうか。多くの人は長期熟成が理由だと思いがちですが、実際のところ、当時使用されていたのは無肥料で自然のまま育った高品質な茶葉でした。
そのため、現在作られているお茶を長期熟成しても、同じ品質にはなりません。詳細は以下のページをご覧ください。
30個の在庫
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